
物件の管理を「スマホで完結したい」という要望は、複数棟を持つ大家になった瞬間から切実になる。
家賃の入金確認・修繕依頼の受付・入居者への連絡・帳簿への記帳——これを別々のツールで対応していると、情報が散らばって何かが必ず漏れる。ここ数年で大家向けの管理アプリが増えてきた。実際に複数のサービスを試した経験から、使い分けの基準と具体的な評価を共有する。
大家がアプリに求めるのは「この4機能」
どのアプリを選ぶかの前に、何を求めているかを整理しておく。1棟〜数棟を管理する個人大家が実際に困っている課題は、おおよそ次の4つだ。
| 課題 | 欲しい機能 |
|---|---|
| 家賃の入金確認が手間 | 口座と連携して自動で入金チェック |
| 修繕依頼の記録が残らない | 入居者からの連絡を履歴付きで管理 |
| 帳簿入力が面倒 | 領収書・請求書をスマホで取り込み |
| 物件情報がバラバラ | 物件別に入居者・契約書・修繕履歴を一元管理 |
この4点を全部まとめて解決するオールインワンのサービスは現状まだ少ない。そのため「何を優先するか」で選ぶアプリが変わってくる。
主要アプリ5サービスの実力比較
① 楽楽賃貸管理(RAKUZA)
対象: 中規模以上の大家・不動産管理会社
特徴: 賃貸管理の基幹業務をクラウドで一元管理できる。入居者管理・契約管理・家賃管理・修繕依頼・送金明細まで網羅している。
個人大家には機能過多な面もあるが、5棟以上になってきたときや将来的に管理会社機能を取り込みたい場合は選択肢に入る。PC操作が中心でスマホ対応は補助的。
向いている人: 棟数が多い・法人化している・管理コストを本格的に削減したい
② ノリオーナー(NoriOwner)
対象: 1棟〜10棟規模の個人大家
特徴: UIがシンプルで、スマホだけで主要操作が完結するよう設計されている。物件・部屋・入居者の紐づけが直感的で、導入のハードルが低い。家賃入金のステータス管理(入金済み・未入金・一部入金)を手動で更新する方式のため、完全自動ではないが視認性が高い。
入居者への連絡はアプリ内チャット形式で行え、やり取りの履歴が残る。トラブル対応のエビデンスとして使える点が評価できる。
向いている人: スマホメインで手軽に始めたい・連絡履歴の記録を重視する
③ freee不動産(freee会計 × 不動産活用)
対象: 帳簿・確定申告をfreeeで管理している大家
特徴: freeeは会計ソフトとして広く使われているが、不動産オーナーが利用する場合に「物件別損益」を把握しやすい設定ができる。銀行口座・クレジットカードとの連携で取引が自動取得され、修繕費・管理委託費・保険料などの経費を物件ごとに分類できる。
単独の「不動産管理アプリ」ではなく「会計+経費管理のプラットフォーム」として使うイメージだ。入居者管理や修繕対応のメッセージ機能はないため、他のアプリと組み合わせることになる。
向いている人: 確定申告をfreeeで行っている・会計入力の自動化を最優先にしたい
④ 大家ノート(β版・無料)
対象: 初めて管理アプリを試す個人大家
特徴: 完全無料で使えるシンプルな物件・入居者管理アプリ。設備情報・入居者連絡先・家賃収入の記録ができる。
高度な自動化はないが「ゼロからエクセル管理を卒業したい」という場合の入口として使いやすい。修繕履歴を写真付きで残せる機能は、原状回復トラブルを防ぐ意味で実用的だ。
向いている人: アプリ管理を試してみたいだけの段階・無料で始めたい
⑤ マネーフォワード クラウド会計(不動産オーナー利用)
対象: 帳簿管理にマネーフォワードを使っている大家
特徴: freeeと同様に口座連携・経費自動取得が強い。不動産専用の機能ではないが、物件ごとにタグを付けて損益を分類することで、確定申告・法人税申告の作業量を大幅に削減できる。
UIがfreeeより直感的だと感じる人が多く、入力しやすさでマネーフォワードを選ぶ大家も少なくない。
向いている人: マネーフォワードを既に使っている・他のfreee機能が不要
実際の組み合わせ:自分の運用パターン
自分が現在使っている組み合わせを正直に開示する。
帳簿・経費管理: freee会計(銀行・カード自動連携)
物件・入居者管理: ノリオーナー(スマホメインで完結)
スキャン・領収書: スマホカメラ + Google Drive(自動整理フロー)
この3つでほぼすべての物件管理業務をスマホ完結できている。freeeのモバイルアプリで経費確認、ノリオーナーで入居者連絡・家賃ステータス——この分業で情報漏れがほぼなくなった。
修繕が発生したとき、ノリオーナーに写真・業者・金額を記録し、領収書をスマホで撮ってGoogle Driveに自動保存、翌朝に自動でfreeeに経費登録される——というフローができている(詳細は別記事にまとめている)。
選ぶ際の3つの判断基準
アプリを選ぶとき、次の3点で絞り込むとシンプルだ。
1. 会計ソフトはすでに決まっているか?
freeeまたはマネーフォワードを使っているなら、そのエコシステム内で完結させると連携の手間が最小化できる。
2. 何棟・何室を管理するか?
1〜5棟なら無料または低コストのシンプル系で十分。10棟以上・管理会社的な使い方をしたいなら業務用の有料サービスを検討する。
3. 入居者との連絡記録を残す必要があるか?
トラブルが起きやすい環境(入居者の回転が速い・外国籍入居者が多いなど)なら、チャット履歴が残るアプリを優先すべきだ。
まとめ:「目的を決めてから選ぶ」が大原則
大家向け管理アプリは機能・価格ともに多様で、「これが一番」という答えは存在しない。重要なのは、自分の物件規模・管理スタイル・既存ツールとの連携を整理してから選ぶことだ。
まずはノリオーナー(無料)や大家ノート(無料)で「アプリ管理に慣れる」ことを試し、その後にfreeeやマネーフォワードとの連携を加えていくのが、失敗の少い進め方だ。
▶ 不動産大家の経費・帳簿管理をfreeeで自動化
freee会計は銀行・カード連携で経費を自動取得。物件ごとの損益管理から確定申告書の作成まで、スマホだけで完結します。
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